通行人B

「人の領地?ここは君の土地なのかい?それはすまないことをしたね。いかんせん、僕らはついさっきここに来た、・・・いや連れてこられたばかりでね。ここは一体どこなんだい?」
「何を面妖なことを申している。ここは虎族の王有地だ。・・・つい先刻現れたのも存じている。貴様ら、変な光と共に現れたな。・・・その見慣れぬ装束。貴様ら・・・否、いや、そこの黒髪。貴様、竜族か?」
えと・・・黒髪って俺!?
ソーヤは茶髪だし、そこのオニーさんもなんかソーヤと似た色合いだけど。
え、どーしよ。キンチョ―して口がまわらない。どーやって喋るんだっけ?
「リュウゾクが何かしらないが、おそらく違うね。僕たちの暮らしていたところにはコゾクなんて言葉もないし、むしろ君たちのような恰好も見たことがない」
きっぱりはっきり代わりに言いきったソーヤに俺は今拍手を送りたい。

「・・・貴様には聞いておらん。その方は口がきけないわけではないだろう」
「あっいえ、そ、そういう、わけ・・・では・・・」
ないんですけど、ぶっちゃけ怖くて喋れません。
どもりまくりじゃねえかコンニャロー・・・。
一般的現代っ子舐めんな!!
非常事態にはめっぽう弱いぞ。
「・・・男ならはっきり喋れ」
「・・・・・・・・・は?」
ぼそっと呟いたオニーさん。なんですが、男女差別はよくないですよー・・・。
時代はジェンダーフリーです。
この人に通じるかどうかは分かんねぇけど。

「分かった。貴様らを今から、」
「さて。君はいったい何者なのか、それこそ教えてもらえないかな?」
空気を読まずに、オニーさんのセリフをぶっち切ったソーヤ。
てかおまっ・・・
「人の話をきけ!!」
そのお怒りはごもっともです。
「・・・今から貴様らを城へ連れてゆく。そこで色々と話を聞こう。質問にもそこで答える。異論はないな」
・・・確定事項?
「ふ、言い換えれば僕らの身柄を拘束するということだね。・・・・・・・・・面白い!受けて立とう」
「面白いんかい!」
「別に勝負ではないぞ」
なんつーか、やっぱずれてるよなぁこの坊ちゃん。

えーと、とりあえず。
突っ込み役をオニーさんに渡していい?


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