恋に落ちた彼と彼女の話
あなたに出会った日
そして、彼に出会った。
色素の薄い私と違って黒くてしなやかな髪に、濁りのないまっすぐな瞳を持つ彼は、少し不機嫌そうだったが
その姿は太陽の光をうけて輝いて見えた。
「お前、誰だよ。」
彼に尋ねられたが、私は言葉を話すことができなかったから
どうしたものかと口をパクパクさせた。
すると、彼は先程より少し優しい声で
「お前、しゃべれないのか。」と言った。
コクコクと私が頷くと、彼ははじめて笑顔になって
「そうか。じゃあ何も言わなくていい。俺と遊びに行こうか。」
と私に手を差し出した。
end.
→Melt (poem)