本気になっちゃいけない
出会い
8月の猛暑日
今年はいつもの夏より飛び抜けて暑い
携帯が鳴った
「久しぶり?元気になった?」
「うんボチボチね 美奈子こそどうなのよ?」
「私はいつも通りよでも小夜子はまだだね」
電話は 高校時代からの友人いや悪友(笑)広瀬美奈子
彼女とは長い腐れ縁だし
彼女に嘘を言ってもすぐばれる
そう私は まだ 立ち直れていない
結局 私は黒澤に
「すまない 彼女に子どもができたのは本当だった」
って 言われた
私も負い目があったから
子どもが出来たって言う時点で 私の負けは決まり
不思議と涙は出なかった
だから 何も聞かずに 何も言わずに 別れてあげた
彼に別れようって 言われたくなかったから
でも仕事だけはきちんとしようと思っていたのに…
ちゃんと人事に手が回って
系列病院に 異動になった
誰に相談することもなく
私は辞表をだした
悲しかった 別れても涙は出なかったけど
その時は1人大泣きしたんだ
それからぽっかり空いた穴は埋まらないまま
「小夜子仕事は?」