本気になっちゃいけない

目をつぶったまま ソファーの背もたれに 仰け反ったように座った
お人形の様な男の子
綺麗過ぎて 私は緊張してしまった
でもその子から視線を外せない

「黒木さんは多分総括マネージャーになるから 9月から私と小夜子で貴方達のことみると思うからよろしくね」

黒木とは美奈子と組んでいたもう1人の男性マネージャーらしい

「黒木さんもやっと出世かよ(笑)」
光星が言うと

すかさず海斗が
「お前もチョイチョイ失礼奴だな(笑)」と突っ込む

きっとこの子達はいつも こんな感じなんだなってわかるくらい タイミングが良かった


「空也聞いてる?わかった?」
美奈子がまた子どもに言うみたいに言った

「あぁ」

小さい低い声と同時に
目を開き 大きく背伸びをした

ちょうどその視界に入ったのか私と目があった

何故か何も寄せ付けない様な鋭い視線に 一瞬ドキッとしたけど

「九条さん 槇原小夜子です
よろしくお願いします!」

精一杯な笑顔で挨拶してみた

もしかしら あまりの緊張で顔がひきつっていたかもしれない

「こちらこそ それから空也でいいよ」
とニコッと微笑んだ

私ったら その微笑んだ優しい顔に またも…



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