本気になっちゃいけない
隣に腰をおろした
空也の シャンプーした 髪のにおいに ドキッとする
グラスにビールをついでくれる空也の手を見て
決して細くてしなやかと言うわけではないけれど とても色っぽいと感じ 見とれてしまった
「どうしたの?」
「…手がきれいだね」
「そうかな?」
と空也が 手を裏表とヒラヒラ動かした
恥ずかしくてとても手が色っぽかったなんて言えない
「じゃ お疲れ乾杯 」
とグラスを向けたので私も空也の持ったグラスに ビールの入ったグラスを 近づけた
一気に飲みほし
「あ~うまい 小夜子さん食べてみて」
私に
食べるようにすすめる
「いただきま~す
そんなに見られると食べづらいよ」
空也は味が気になるのかじっと見ている
パスタを口に入れると
ちょうどよい塩加減とトマトの酸味が バランスよく
「美味し~い」
と私が言った言葉に
「そっ良かったぁ」
ととても嬉しそうに微笑んだ
まるで母親に褒められた子ども見たいに無邪気な笑顔だ
フォークを 両手で挟み 「いただきま~す」
パスタを頬張った
「我ながらうまい」
とても満足そうな顔をしている