本気になっちゃいけない
「お帰り 遅かったね」
ちょうど黒澤は夜勤に出るところだ
なぜか ここに帰って来てしまった
はっきり黒澤に問いただすため …
今はそんな力も残ってないよ
「どうした? 何かあった?」
いつも通り優しい
この優しさは嘘なんだろうか…
「田代先生の娘さんに会った」
彼が一瞬えっと
たじろいだ様に見えたけど
「ごめん 彼女のことはきちんとするから 上司の娘さんだし」
何よ なんでにそんなにあっさり認めちゃうのよ
少しぐらい否定しなさいよ
「はっきりしなきゃいけないのは私達のほうかもね 」
やだ本当はこんなことが言いたいんじゃない
本当にアラフォー女は可愛くない
「彼女妊娠してるって言ってたし」
「えっ?俺は知らない そんなこと聞いていない」
彼はかなり慌てていた
時計をチラッと見て
「帰ってきたらまた話そう」
と出ていってしまった