今日から始める魔王伝
俺はざわめく野次馬の中から騒いでいた魔王の娘を家に引っ張りこむ。
そして俺はそのままベッドに倒れこんだ。
※ ※ ※
翌日。
「死んだ……
俺は社会的に死んだ……」
真っ青な顔をしてテーブルに突っ伏している。
因みに魔王の娘は勝手に家のコーヒーを淹れて飲んでいた。
――図々しいなこいつ。
俺が睨んでいるのに魔王の娘は気が付かない。
「大丈夫ですかユウさん? 」
心配そうに俺の顔を覗き込む魔王の娘。
「お前のせいだろっ!?
俺が街の人と信頼を積み上げてきた5年間……
一瞬にして崩しやがって!! 」
文句を言いながら俺は気になっていた事を聞くことにした。
「なぁお前は魔王の娘だろ? 」
「はいそうです。
そういえばまだ自己紹介してませんでしたね。
私は前代魔王の娘ミーナ=セルシビアです。
一応魔王です。
よろしくお願いします」
「ユウ=アルカナ。人間だ」
俺も若干立ち直り、簡単に自己紹介をした。
――初めて人間だって自己紹介したな。
俺がボケッとそんな事を考えているとミーナが小さく手を挙げる。
「あのぉ~ユウさん。
聞きたい事があるんじゃ無かったんですか? 」
「あぁそうだった 」
俺はミーナを見据える。
「単刀直入に聞くぞ。
ミーナは敵討ちに来たのか? 」