今日から始める魔王伝
俺がいきなり真顔に成ったのを見て、ミーナは驚いている。
だがすぐにミーナも真剣な目をして聞き返す。
「もしそうだと言ったらユウさんはどうするんです?」
俺は無言で棚から愛刀のククリナイフを取りだし、ダンッと机に突き立てる。
「使えよ。
俺は抵抗しない」
俺がそう言い放つとみるみるうちにミーナの紅の瞳に涙が溢れ流れ出す。
――えぇぇぇ―――!?
えっ!? えっ!? なんで? まさか俺を殺せるから嬉し泣き?
俺があたふたしてる間もミーナは泣き止まない。
「うぐっ……
うぇぇ~~ん!! 」
「おい。泣き止んでくれよ」
「うぇぇ~ん!! 」
「あぁっ! もう!! 」
小さい時両親にして貰ったよう、俺は泣き止むまでミーナを抱き締め背中を擦ってやった。
※ ※ ※
「落ち着いたか? 」
「うぅ……」
ミーナは俺の胸元に顔を埋めている。
「うぐっ、チィ~~ン! 」
「うわっ!? 人の服で鼻をかむなよ! 」
俺はミーナを引き剥がそうとするが、有り得ない力で俺にくっつく。
「おいミーナ離れろ!!
こんな無駄なところに魔王クオリティーを発揮するなよ! 」
「嫌"ですぅ~!
放"じまぜん~~!! 」
泣きながらミーナが更に強くくっついてくる。
結局ミーナが離れたのは昼過ぎになってからだった。