今日から始める魔王伝
俺は大きな衝撃を受けていた。
ミーナの言った“魔物と人々が共生する世界を作る”という言葉にだ。
魔王がそんな大きな志を持っていただなんて知らなかった。
――もっと魔王の話に耳を傾ければ良かった。
どうしても俺は後悔に駆られる。
「わ、私言ってしまいました。
死ぬまで私と一緒に居てくださいだなんて……
まるでプ、プロポーズです!!
逆プロポーズです!! 」
何か興奮しているミーナの手を握り、俺はミーナの紅の瞳を見詰める。
「ミーナ」
「は、はいっ! 」
若干頬を上気させミーナが返事をする。
「俺の命お前に預けた。
これからは一緒に(その志を果たそう的な意味で)居よう!! 」
「はいっ!
これからは(夫婦だから的な意味で)ずっと一緒です!! 」
何故か『やりました! 逆プロポーズ成功です』とか呟いているミーナを俺は不思議に思いながら眺める。
どうせミーナの事だ。
しょうもない事だろうと俺は無視する事にした。
頬に手をやりクネクネするミーナを無視して食事の支度をした。
窓の外には星が輝いている。
朝から何も食べていなかったので、空腹が限界まできていたのだ。
軽くステーキ肉を炙りレアにする。
そして昨日買ったパンを卓上に並べただけの夕食が出来た。
「ミーナ飯出来たぞ。
早く席に着け」
「はっ! ご飯ですか!?
ちょうどお腹減ってたんですよ早く食べましょう」
俺達は少し遅めの夕食を食べ始めた。