今日から始める魔王伝
「おうユウ! 生きの良い魚はいらないか? 」
「要らねぇよ!
もう牛肉買っちゃったから」
俺は威勢良く話し掛けてくる魚屋のおっちゃんに、牛肉が包まれた紙袋を見せながら軽く返す。
「ユウ君! パンが焼き上がったよ。
1ついらない? 」
「マジで焼きたて! じゃあ1つ頂戴」
「はい。どうぞ」
「サンキュー」
俺はパン屋のお姉さんから焼きたてパンを1つ買った。
その後も俺は色々な人に話し掛けられながら、街のメインストリートを歩く。
俺はさっき買ったパンをかじりながら、街の外れにある家に向かう。
「ブファッ!?
痛えな!! 何してんだよシア! 」
俺が暢気に歩いていると、急に背中に衝撃を受けた。
「あれ~? 何でバレちゃったの? 」
「俺にはいきなり街中で背中を叩く知り合いはお前位しか居ねぇんだよ!! 」
「……てへっ」
シアは舌だし首を傾げ、可愛いらしく惚けたポーズをしている。
「全く……
『てへっ』じゃねぇよ。
で? なんか用か」
俺が冷たく聞くとシアは『ぶぅ~』とむくれる。
「なによ~、用が無いと話し掛けちゃいけないのぉ~! 」
「当然だろ。
用が無いなら俺は行くからな」
シアに背を向け俺は歩き出す。