今日から始める魔王伝
「嫌だよ面倒くさい」
「やっぱり手伝ってくれるんですか!ってえぇぇぇ――!?
なんで嫌なんですか!
世界の半分が手に入るんですよ!! 」
俺がキッパリ言うと娘が俺のお腹の上で喚く。
正直五月蝿い。
「お、おい。こんな夜中に叫ぶなよ!
お隣さん家に聴こえるだろ!! 」
俺は慌てて叫びだした娘の口を塞ぐ。
「むぐぅ~! むぐむぐむぐぅ~!? 」
「ふぅ~。
お前は俺が今まで築き上げてきたお隣さんとの信頼を壊すつもりかよ? 」
「むぐぅ!? むぐぅ!? 」
俺の呟きを聞いて娘は何かを俺に伝えようとしている。
だが残念ながら『むぐぅ』としか聞こえない。
娘は俺に伝わってないと分かると、今度は腹の上で何度も跳ねる。
流石にこれは不味い。
暗いので、パッと見いけない行為をしている様に見えてしまう。
慌てて跳び跳ねる娘を止めようとする。
「ちょっ!? 馬鹿!!止めろって。
お隣さん家には思春期真っ只中の娘さんも居るんだ…ぞ……」
――あれ? なんか突き刺さるような視線を感じる……
俺は嫌な予感を感じながらゆっくりと振り向く。
「……」
「……」
――おぅ……
俺は絶句した。
まさに思春期真っ只中のお隣の娘さんが俺達を見下ろしていた。
その瞳には嫌悪感がありありと感じ取れる。
――マジで最悪だ……
俺は絶望を噛み締めた。