今日から始める魔王伝
重い沈黙の中、思春期真っ(以下略)が口を開く。
「へぇ~ユウ兄ってそんな趣味が有るのね……」
「ち、違うんだサーシャ!!
俺の話を聞いてくれ!! 」
まるで浮気がバレた男の様に必死に成る俺。
そんな俺をサーシャがさらに冷たい笑みで見下ろす。
「別に良いわよ。
ユウ兄がどんな趣味をしてても。
あっ、でもこれからは街で会っても声をかけてこないでよ。
あともう家にご飯を食べに来るのも無しね」
全然良くなかった。
必死に俺はその後もサーシャに弁解をするが聞いてもらえない。
不運な事にさらに不味いことが起きた。
俺がサーシャに気を取られている間に魔王の娘が塞いでいた手を退けて騒ぎ出したのだ。
「ぷはぁっ!! 苦しかった~
ユウさん酷いじゃ無いですか!
私が何回も苦しいから止めてって言ったのに、無視して続けるなんて!
あんまりです!! 」
「『あんまり』なのはお前の発言だぁぁあ――!! 」
俺の声は思ったより通ったのだろう。
近くの家々から住民が起き出してきた。
皆口々に『何事だ!』と言い慌てている。
――ヤバいヤバいヤバい!
このままでは意味の無い誤解を受けてしまうではないか!!
俺は最高に焦っていた。