今日から始める魔王伝
俺の焦りとは反対に魔王の娘が続ける。
「何で私と一緒にきてくれないんですか!? 」
「その話は後で聴いてやるから、なっ?」
俺が魔王の娘を宥めて居ると彼女はサーシャを見つけ、何かを考える。
そしてサーシャを指差して叫んだ。
「貴女がユウさんをたぶらかしたんですね!!
だからユウさんが私に付いて来てくれないんですね!? 」
魔王の娘の発言を聞き周りの野次馬達はヒソヒソ話し出す。
「ユウが二股かけてたらしいぞ」
「サーシャちゃんの他に街の外に女が居たらしい」
「しかも結婚を迫られてそれがサーシャにバレたらしいぞ」
「本当! 正に女の敵ね」
「サーシャちゃんは一途に想ってたのに可哀想よ!! 」
「なんか変な誤解を産んでないか?
てかサーシャと俺は只のお隣さんだぞ!! 」
俺の事など無視するように場はヒートアップしていく。
「べ、別にたぶらかしてなんかないわよ!!
わ、私ユウ兄なんて興味無いんだから! 」
「じゃあ私達の事はほっといて下さいよ! 」
「そうわ行かないわよ!!
外でそんな行為するなんて不潔よ!! 」
ヒートアップの原因は魔王の娘とサーシャだった。
俺は場を纏めるのを諦め夜空を仰いだ。
「もうどうにでも成れよ……」
俺の言葉は綺麗な星空に飲まれて行った。