うしろの眼鏡くん
受験生
三年生 二学期の秋。


猛暑が過ぎて少し涼しくなった頃、

あたしは「受験生」という言葉を実感し始めてきた。

『今頃実感なんて遅い』と

今朝教室に向かう途中、友達の有未につっこまれた。


あたしの成績は中の上くらいで

レベル的には結構上のほうだ。

この間の二者面談でも先生に

『志望校のレベルを上げろ』なんて言われたほどだ。

正直、どうでもいい…

なにが進路だっ!!ばかっ!!

なにもかもどうでもよくなった。


そう思いだしたのはあたしの家庭環境のせいでもある気がする。


あたしは「家族」と思えないほど仲が悪い。

仲が悪いというか、ぎくしゃくしている。

あたしは三姉妹の長女だ。

親は長女というだけで全ての期待を託した。

そんなこともあってあたしは親が嫌いだった。

反抗期が来ると毎日のように口喧嘩をした。


そして、中学になって親はあたしへの期待を絶望に変えていた。

なにをやっても駄目といわれ、

人より努力して、いい結果を残しても無駄だといわれた。

親は妹に目線を向け、過保護に育てはじめた。

あたしはそんな生活が窮屈で「頑張ること」に嫌気がさしていた。


もうどうでもいいんだ…

どうでも…

ぼぉっとしていると気がつけば5時間目の授業になっていた。
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