KY☆ヒーロー(更新休止中)
「あ? 何すか、アンタ」
と、力雄の声。
個室から顔を出し、様子を窺うと、出口に力雄を通せんぼするように、仁王立ちで立っている男子生徒がいた。
久朗には、見覚えがある生徒だった。
一週間程前に転校して来た、隣のクラスの加屋洋介(カヤ ヨウスケ)だ。
ガラの悪い生徒が闊歩する校内で、制服をきっちりと着こなす彼は、早くも色々な意味で周りから浮いている存在だった。
「君! イジメ! よくない!」
目をカッと見開き、ピッと人差し指を立てて力雄を指差し、声高々に標語のような台詞を言い放つ洋介。
「はぁ?」
「ふむ。1年の南条か。僕は見ていた、君の悪事を……従って、見過ごす訳にはいかずにこうして君と対峙している訳だが、さっきのは恐喝と言ってもいい、そもそも金銭の貸し借りというものは――」
「……」
「……」
久朗の方へ振り向き、コイツお前の知り合い? と、ジェスチャーする力雄。
久郎は、それに対して首を振る。