KY☆ヒーロー(更新休止中)

「南条君! 君は僕の話を聞いているのか!」

「ああ!? 何だ、て……」

力雄は、洋介の胸ぐらに掴み掛かるが、あっさりと手刀で払い落とされる。

「えっ……」

その意外な力の強さに、思わず声を漏らす力雄。

手刀を当てられた手首は、痺れるように痛む。

洋介は力雄の両肩にガッと手を置き――

「目を醒ますんだ! こんな事ばかりしていてはいけない! 僕らは若い、色々な誘惑もあるだろう。だけど心を開いて、己の良心に問い掛ける……嗚呼、素晴らしき青春、夢、希望――って、おい! 聞いているのか! そうだ、話を戻すがイジメというのは――」

力雄の両肩を掴み、時折意識を飛ばしそうになる彼の体を揺さ振り、延々と説教を続ける洋介……

そんな二人の横を、持ち前の身体の細さで擦り抜け、

「……じゃあ、僕はこれで」

と、そそくさとトイレから脱出し、足早にその場を離れる久朗。

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