春色恋色
中庭へ行くと去年のように綺麗に咲き誇っていた。


 綺麗だなぁ…



「やっぱり綺麗だよな」


びっくりして振り返ると腕を組んだ先生が立っていた。




「な、なんで…」


驚いてる私に笑いながら近づいてくる。



「窓から見えたから、ここに来るんじゃないかって」



そう言いながら私を通り過ぎて木の下へ行った。




「なんで去年もここに来たの?」




こっちを見ずに前を向いて聞いてくる。




「家に帰りたくないから…」





聞こえるかどうかわからない声で呟いた。





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