春色恋色




「最近話せてなかったからな。
 でも人がいるところで聞くのも
 無神経かと思ってな」

ははっと笑った。




やっぱり先生は気を遣ってくれてたんだ。

それなのに私……



「…ごめんな、さい」

俯いた私の眼からは涙が零れた。


「どうした…?なんかあった?」



優しく頭を撫でてくれる先生。
この優しい手が愛おしい。



私は思っていたことを全て話した。

電話掛けれなかったこと…
あれから泣いたこと…
見捨てられたと思ったこと…



「バカだなぁ、そんなこと思ってないで
 掛けてこればいいんだよ。
 俺が見捨てる訳ないし…
 泣いてる生徒を見て放っておけない」


うん…、先生はこういう人だ。


生徒のことを一番に考えて、
生徒を誰よりも愛して、


最高な人、最高な先生。




「ごめんなさい……」


そう言う私に謝るなって言いながら抱きしめてくれた。



ふとパソコンに目をやると、
家のこととか生徒のことが書いてあるページが開いてあった。



こんなに考えてくれてるんだ…





「今度からは電話してくるように。
 わかったか?」

先生口調に戻った先生はフッと笑った。




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