春色恋色
 
 教室に入るなり、放送が掛かった。

『生徒のみなさんは体育館に入ってください』

 その声にドキッとしてしまった。
だって、先生の声だったから…。

「琴葉ぁ~!朝から顔、赤くしちゃってさー」

 そんな言葉とともに、私の頬にプニッて触るのは、
私が先生のことを好きだって知っているただ一人の親友。

「あ、赤くなんかなってないよっ!!」

 慌てて頬を触った。その行動をニヤニヤしながら見てるは唯。

「可愛いなぁ~。本当に大好きなんだね」

 うんうん、と頷きながら私の頭をポンポンと叩く。

 私が先生を好きって言った訳でもないけど、唯は気付いてたらしい。
唯曰く、私の行動はバレバレなんだって…。

「ホラぁ、愛しの先生を見に行きましょうか」

 そう言いながら、私の背中を押して体育館へと向かった。
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