春色恋色
押されるがままに体育館に入った。
やっぱり私は重症なのかもしれない…
だって、ここでも先生を見つけたんだもん…。
先生は歳が近い男の先生と笑い合いながらなにかを話している様子だった。
「先生いたぁ?…って、もう見つけたの?」
呆れながら私の視線の方向を見る。
「へぇ、いいコンビじゃん」
唯がボソッと呟いた。
その言葉に、え、と唯の方を振り返った。
「知らないの?
あんたは本当に先生しか見てないんだからぁ」
何も知らない私に唯が説明してくれた。
説明の内容によると、
桜井直人と早河武の二人は
先生のなかでダントツの人気があるコンビらしい。
「ふぅ~ん…」
「あ、ちなみに早河は英語の先生ね」
英語の先生と聞いて、そんな先生居たっけ…と思い出していた。
あぁ、そっか…私たちが英語のときは先生が体育の授業をしてるんだ…
ずっと見てるから、授業なんて覚えてないや…
「覚えてないなぁ…」
私が言うと、もうっと頭をぺちっと叩かれた。