それでも君を、護りたい。
第一章 杏樹と悠太
「杏樹、誕生日プレゼントはなにが欲しい?」
「彼氏」
「……ずいぶんとまぁ、がっついた要求ですなぁ」

 誕生日を目前に控えた私、神足杏樹(コウタリアンジュ)は焦っていた。
 17にもなるのに彼氏いない歴=年齢なのだ!

 このまま恋愛せずに高校を卒業するのはすごく嫌だ。私も彼氏と楽しく過ごしたい。ていうか、彼氏と過ごす誕生日を迎えたい。

「よし決めた。17歳の抱負は彼氏を作ることだね!」
「それ去年も言ってたよね」
「……うるさいなっ」
「彼氏欲しいって、そんなすぐに出来るものじゃないでしょーよ。大体あんた、自分からアタックしたことあるわけ?」

 ……ないけどもっ! いつも見ているだけで満足しちゃう人間だけどっ!
 相手に歩み寄らないまま消化不良になった恋も何個もあるし。あれ? なんだろう、積極的な恋って全然ないや。

「いいじゃない、そんな焦って彼氏を作ろうとしなくてもさぁ。第一あんたには神ちゃんがいるから必要なくない?」
「……なんでそこで悠……神野先生の話が出るの」
「あ。今“悠太”って言おうとした。いいなー幼なじみ」
「そんなにうらやましいなら変わってやりたいくらいだよ。あいつと幼なじみなんて全然良いこと無いんだから!」
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