それでも君を、護りたい。

 なにが悲しくて、幼なじみと同じ学校に通うはめになるんだろう。


 それも“教師”と“生徒”として。


 神野悠太(ジンノユウタ)……世界史担当。私が2年生になるのと同時に赴任してきた、私の幼なじみ。



「みんなが神ちゃんカッコいいって騒いでる中、杏樹だけが不快そうな顔してたよねー」



 あれは本当に驚いた。驚きすぎて、口が開けっぱの状態だった。
 私は赴任してくるという話を知らなかったのだ。


「まあ、普通言わないでしょ。“俺、杏樹の学校で教師をやるんだぜ”なんてさ」
「教えてくれた方がまだマシだよ。知らなかったから、思わず名前呼びしちゃって、クラスの女子からは質問の嵐で、もう大変だったんだから」

 悠太……神野先生だって私を杏樹なんて呼ぶもんだから、女子には睨まれるし、他の先生たちには幼なじみだってバレちゃうし。
< 3 / 5 >

この作品をシェア

pagetop