Music Ball
入学式が終わり、入学生がぞろぞろと体育館から出て行く。
私の頭の中はまだ佐藤夏のことでいっぱいだった。
私のクラスは一年七組。
自分の教室に一歩足を踏み入れる。
淡い期待を込めて辺りを見渡す。
が、佐藤夏はいなかった。
自分の席につく。
入学の興奮からなのか落ち着きがなく、ざわついている。
「なっちゃん...」
ぼそっとつぶやく。
佐藤夏。
そんなのはありふれた名前だと、自分でもわかっていた。
数居る中の一人や二人くらい似ている人がいてもおかしくない。
だいたい、私の知ってる佐藤夏はもう坊主じゃないはずだ。
でも、それでも私は佐藤夏が何組なのか、どこ出身なのか知りたくなった。
保護者が後ろに並び、先生の話が始まる。
担任は若い茶髪の白川明という人だった。
笑うとどこか子供っぽい。
「担任の白川明です。これから三年間よろしくお願いします!」
おとなしく先生の話を聞いていると、後ろの席の子にねぇねぇと肩をつつかれた。
「担任の先生、かっこよくない??」
いきなり話しかけられ私は「へっ??」拍子抜けする。
「あの人何部の顧問かなぁ。私先生がいる部活入りたいんだけど!」
女の子は先生の方を見て、笑っている。
「何部だろうね?運動部じゃないかな。」
そういうと女の子は私に視線を戻し、満面の笑みをこぼした。
「やっぱり??だってスポーツ得意そうだもんね。でも私運動苦手だからなぁ。あっ私西村絵美。よろしくね!」
「よろしく、西村さん。」
そういうと西村絵美は嫌そうな顔をして絵美でいいよ、と言った。
「私も春って読んでもいい??」「全然いいよ!」
そうして私の高校初めての友達はあっさりとできた。
暗い茶色のパーマがかかった髪の絵美は、目が大きくかわいくてまるで人形のようだった。
「春はさ、部活どうするの??」私は一呼吸おいて部活か、と思った。
中学で帰宅部だった私は高校でも帰宅にしようと思っていた。
だから部活などまったく興味がなく、考えてもいなかった。
ふと佐藤夏の姿が浮かぶ。
あの、坊主姿。
「...野球部に、入りたい。」
絵美が驚いた顔で問いかける。
「野球好きなの??」
私は少し返答に困りながら「そういうわけじゃないんだけど..」と答えた。
私の頭の中はまだ佐藤夏のことでいっぱいだった。
私のクラスは一年七組。
自分の教室に一歩足を踏み入れる。
淡い期待を込めて辺りを見渡す。
が、佐藤夏はいなかった。
自分の席につく。
入学の興奮からなのか落ち着きがなく、ざわついている。
「なっちゃん...」
ぼそっとつぶやく。
佐藤夏。
そんなのはありふれた名前だと、自分でもわかっていた。
数居る中の一人や二人くらい似ている人がいてもおかしくない。
だいたい、私の知ってる佐藤夏はもう坊主じゃないはずだ。
でも、それでも私は佐藤夏が何組なのか、どこ出身なのか知りたくなった。
保護者が後ろに並び、先生の話が始まる。
担任は若い茶髪の白川明という人だった。
笑うとどこか子供っぽい。
「担任の白川明です。これから三年間よろしくお願いします!」
おとなしく先生の話を聞いていると、後ろの席の子にねぇねぇと肩をつつかれた。
「担任の先生、かっこよくない??」
いきなり話しかけられ私は「へっ??」拍子抜けする。
「あの人何部の顧問かなぁ。私先生がいる部活入りたいんだけど!」
女の子は先生の方を見て、笑っている。
「何部だろうね?運動部じゃないかな。」
そういうと女の子は私に視線を戻し、満面の笑みをこぼした。
「やっぱり??だってスポーツ得意そうだもんね。でも私運動苦手だからなぁ。あっ私西村絵美。よろしくね!」
「よろしく、西村さん。」
そういうと西村絵美は嫌そうな顔をして絵美でいいよ、と言った。
「私も春って読んでもいい??」「全然いいよ!」
そうして私の高校初めての友達はあっさりとできた。
暗い茶色のパーマがかかった髪の絵美は、目が大きくかわいくてまるで人形のようだった。
「春はさ、部活どうするの??」私は一呼吸おいて部活か、と思った。
中学で帰宅部だった私は高校でも帰宅にしようと思っていた。
だから部活などまったく興味がなく、考えてもいなかった。
ふと佐藤夏の姿が浮かぶ。
あの、坊主姿。
「...野球部に、入りたい。」
絵美が驚いた顔で問いかける。
「野球好きなの??」
私は少し返答に困りながら「そういうわけじゃないんだけど..」と答えた。