ひねもす月
どこだ!?


いくら耳をすましても返事は聞こえない。

残りの罠の近くから、ぐるりと探す。


いない。


カナタは田んぼ道に飛び出した。


走り回った呼吸が苦しい。
ハァハァと荒い息を吐き、ごくんと唾を飲み込む。

キョロキョロと辺りに首を巡らせると……


「ミナー!!」


少し離れた、見晴らしのいい畦道の真ん中。
黄色いワンピースが目に入った。

ほっと胸をなで下ろし、急いで駆け寄る。


「勝手に離れちゃだめだってば」


見たところ、怪我もない。

安心したら、ドッと疲れが押し寄せてきて、カナタはその場にドサリと座り込んだ。
わざと深呼吸をして、落ち着かない呼吸を整える。


「……ミナ?」


顔を上げると、ミナは見つけた時のまま、立ち尽くしていた。

何をするわけでもなく、ただ、ぼぅっと、空を見ている。


「……?
何か、飛んでる?」


立ち上がって、同じ空を見てみた。
雲一つない、薄水色の青空。
鳥影は……低いところに、幾つか。たぶん雀だろう。


「あぁ……」


ミナの視線を追って、ようやく、理解する。


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