ひねもす月
「そっと。優しくだよ」
躊躇いなく手を差し入れてカブトムシをカゴに移す。
小さな時からずっとここに住んでいるミナは、カナタよりずっと逞しくて、遊び方をよく知っている。
細い指で節のあたりを掴むと、易々と持ち上げ、首に下げたカゴに入れた。
網を使わなくても虫が捕れるなんて。
都会っ子のカナタには、ちょっとしたカルチャーショック。
向こうじゃ、部屋にハエ一匹迷い込んだって騒ぎになるのに。
カブトムシなんて、お店で売ってるのしか知らない。
「やった!!」
葉っぱを敷き詰めた虫カゴの中をゆっくり動くカブトムシに、二人で顔を見合わせニンマリ、笑う。
パチン!と一つ、ハイタッチ。
熱い中、歩きまわったかいがあったというものだ。
サイズはさほどではないものの、立派な、オスのカブトムシ。
昨日からの努力が報われた気がする。
「……さ、帰ってジュースでも飲もうか」
走り回ったせいもあるが、汗が滝のように流れてくる。
したたる滴が目に入りそうで、やはりびっしょり汗だくになったタオルで額をぬぐった。
一見平気そうに見えるミナでさえ、首筋に濡れた黒髪を張り付かせている。
躊躇いなく手を差し入れてカブトムシをカゴに移す。
小さな時からずっとここに住んでいるミナは、カナタよりずっと逞しくて、遊び方をよく知っている。
細い指で節のあたりを掴むと、易々と持ち上げ、首に下げたカゴに入れた。
網を使わなくても虫が捕れるなんて。
都会っ子のカナタには、ちょっとしたカルチャーショック。
向こうじゃ、部屋にハエ一匹迷い込んだって騒ぎになるのに。
カブトムシなんて、お店で売ってるのしか知らない。
「やった!!」
葉っぱを敷き詰めた虫カゴの中をゆっくり動くカブトムシに、二人で顔を見合わせニンマリ、笑う。
パチン!と一つ、ハイタッチ。
熱い中、歩きまわったかいがあったというものだ。
サイズはさほどではないものの、立派な、オスのカブトムシ。
昨日からの努力が報われた気がする。
「……さ、帰ってジュースでも飲もうか」
走り回ったせいもあるが、汗が滝のように流れてくる。
したたる滴が目に入りそうで、やはりびっしょり汗だくになったタオルで額をぬぐった。
一見平気そうに見えるミナでさえ、首筋に濡れた黒髪を張り付かせている。