ひねもす月
ミナは……カナタ以上に危険な橋を渡っている。
それは、この世とあの世の架け橋のようなものだ。
一歩踏み違えれば、何が起こるか、わからない。
「ミナ、帰ろうよ」
カナタが本気で抵抗しないから、ミナはずんずん、先に進んで行く。
はっきりと、目的をもっているのだろう。
迷いのない足取りで、どこかを、目指す。
いくら細身で非力でも、カナタがその気になれば、ミナを引き戻すのはそう難しいことではなかった。
けれど、元々の気の弱さと、かわいい妹への愛情で、どうにも、力を入れることができない。
ミナが行きたいなら。
つい、そう思ってしまう。
「どこまで行くの?」
田んぼの終わり、長く茂った夏草をかき分けながら、まだ、進む。
点在する雑木林や杉の木立に視野を邪魔され、いまいち、方向感覚がつかめない。
ただ、もう、だいぶ歩いた気がした。
すぐそこ。
ミナのそんな素振りも、幾度目か。
「ぅわっ!!」
雑草をかきわけることに気を取られて疎かになっていた足元に、じんわりと水がしみる。
また田んぼがあるのだろうか。
草に覆われた地面は、湿っていて、よく見ると、あちこちに小さなぬかるみがあった。
それは、この世とあの世の架け橋のようなものだ。
一歩踏み違えれば、何が起こるか、わからない。
「ミナ、帰ろうよ」
カナタが本気で抵抗しないから、ミナはずんずん、先に進んで行く。
はっきりと、目的をもっているのだろう。
迷いのない足取りで、どこかを、目指す。
いくら細身で非力でも、カナタがその気になれば、ミナを引き戻すのはそう難しいことではなかった。
けれど、元々の気の弱さと、かわいい妹への愛情で、どうにも、力を入れることができない。
ミナが行きたいなら。
つい、そう思ってしまう。
「どこまで行くの?」
田んぼの終わり、長く茂った夏草をかき分けながら、まだ、進む。
点在する雑木林や杉の木立に視野を邪魔され、いまいち、方向感覚がつかめない。
ただ、もう、だいぶ歩いた気がした。
すぐそこ。
ミナのそんな素振りも、幾度目か。
「ぅわっ!!」
雑草をかきわけることに気を取られて疎かになっていた足元に、じんわりと水がしみる。
また田んぼがあるのだろうか。
草に覆われた地面は、湿っていて、よく見ると、あちこちに小さなぬかるみがあった。