ひねもす月
「さてと。ジーパンはそれでいいよな。
ほら、こいつでどうだ」
一通りコーディネートされた服とともに試着室に追いやられる。
襟元のきっちりしたシャツにベルト。ついでに、ハット。
モードな雰囲気のそれらをカナタが選ぶことは、普段まずない。
はあぁ……
仕方なしに着替えながらも、その心は重かった。
まるで、暗闇を一人さ迷っているような気分だ。
なんなんだろう……。
自分で自分の気持ちが、わからない。
あんなに特別なのに……崇高とすら呼べそうなほどの気持ちなのに……。
今のこの、嫉妬にも似た想い。
独占欲、というのだろうか。
はぁぁぁ……
疚しいことはないはずだった。のに。
おかしい。
阿部くんの言葉に、心が揺れている。
「お、やっぱりー」
「ほっそいヤツはこういうの似合うからイイよなぁ」
「育ちが違うってか」
頭の中がぐるぐる回ってまとまらない。
それでも、体は事務的に着替えをこなし、カーテンを開けていた。
「いいよな~、オレもキャーキャー言われてー!」
ふざけ合う彼らの声は、意味をなさない文字の羅列だ。
ほら、こいつでどうだ」
一通りコーディネートされた服とともに試着室に追いやられる。
襟元のきっちりしたシャツにベルト。ついでに、ハット。
モードな雰囲気のそれらをカナタが選ぶことは、普段まずない。
はあぁ……
仕方なしに着替えながらも、その心は重かった。
まるで、暗闇を一人さ迷っているような気分だ。
なんなんだろう……。
自分で自分の気持ちが、わからない。
あんなに特別なのに……崇高とすら呼べそうなほどの気持ちなのに……。
今のこの、嫉妬にも似た想い。
独占欲、というのだろうか。
はぁぁぁ……
疚しいことはないはずだった。のに。
おかしい。
阿部くんの言葉に、心が揺れている。
「お、やっぱりー」
「ほっそいヤツはこういうの似合うからイイよなぁ」
「育ちが違うってか」
頭の中がぐるぐる回ってまとまらない。
それでも、体は事務的に着替えをこなし、カーテンを開けていた。
「いいよな~、オレもキャーキャー言われてー!」
ふざけ合う彼らの声は、意味をなさない文字の羅列だ。