ひねもす月
「あ、いたいた」


また引きずりまわされ、ようやくの思いで合流したのは、婦人服売り場にある試着室の前。
ミナの試着あがりを待っているところだった。


「わ~スドウ、全然違う~!知ってなきゃ同一人物とはわかんないかも!?」


ハイテンションな高い声で騒がれると、居心地が悪い。

このままミナに会わなければならないのかと思うと、なおのことだった。


「こっちも超かわいいよ。ついでに美容室とか行ければカンペキなんだけどね」


もうすぐミナが出てくる。

あんなに会いたかったのに、カナタは逃げ出したくて仕方なかった。


「つぅかスドウさぁ、ミナちゃん、すっごい大人しいのね~。物静かってのかな。好みとかわかんなくて苦労したよぉ」


「とか言っておまえら、言われたって聞かねぇくせに。普通の子はなぁ、おまえらみたいなうるせぇのといたらロクに話せなくなるもんなの!」


「え~、阿部、ひど~いっ」



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