ひねもす月
キャーキャー楽しそうな高田さんたちの様子からすると、幸いにも、ミナがしゃべれないことには気づかなかったらしい。

ミナが普通に振る舞えたとは思えないし……それだけ服選びに集中していたのだろうか。


「な、スドウ?」


上の空で、曖昧に頷く。


「ってか、スドウのがあんたらのせいでしゃべれてないんじゃないの~?」


カナタの目には、4人がギャーギャー喚きあっている奥、クリーム色のカーテンしか映っていない。

そのカーテンが、波打ち、ゆっくりと、少しずつ、開き始めた。


「あ、出て来たぁ。アタシらのセンスにびっくりするなよ~?ホント、かわいいの」


まず目に飛び込んできたのは、すらりと伸びた脚。


「おーっ」


デニムのショートパンツに、キャミソール。シースルーのボレロ。頭には太めの、カチューシャ。


「似合うじゃん!!かわいい!!素材がイイもんなぁ」


用意されたバックと、ミュールを合わせ、おずおずと出てくる。
その出で立ちは、露出のわりに上品で、嫌味がなかった。


「素材を生かすのもウデ次第、ってね。
スドウもそう思うでしょ?」


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