ひねもす月
ガシャ
いつかの小さな浜に着くと、平らな大きめの石を目掛けて勢いよく腰をおろす。
近くの小石がうるさく鳴った。
心を満たすのは、不満。
考えつくのは、母の悪口。
突然やって来て何を言うかと思えば。
連れて帰る?
手に負えなくなって、捨てたくせに。
いつだって勝手なことばかり……。
なぜカナタが学校に行けなくなったか、なんて、知ろうともせずに。
なぜカナタがリビングにいられなくなったか、なんて、考えてもみないで。
母親だからって、それほどまでに偉いのだろうか。
あんな、ヤツ。
来なければ、幸せなのに。
放っておいてくれさえすれば、立派な、ミナのおにいちゃんでいられるのに。
--ミナ、の……。
ぐしゃりと髪に手をつっこんで、掴める限りの毛を引っ張った。
抜けるなら、抜ければいい。
頭皮の痛みが、正気を保つ。
この痛みが、最低な自分を罰してくれる。
……ちょっとは、気持ちが、ラクになる。
「あぁ、もうっ!!」
遠く、湖面に当たり散らした。
ミナには……あんな姿、見せたくなかった。
最悪だ。
きっと怯えているだろう。
泣いているかもしれない。
クズみたいな自分のせいで。
いつかの小さな浜に着くと、平らな大きめの石を目掛けて勢いよく腰をおろす。
近くの小石がうるさく鳴った。
心を満たすのは、不満。
考えつくのは、母の悪口。
突然やって来て何を言うかと思えば。
連れて帰る?
手に負えなくなって、捨てたくせに。
いつだって勝手なことばかり……。
なぜカナタが学校に行けなくなったか、なんて、知ろうともせずに。
なぜカナタがリビングにいられなくなったか、なんて、考えてもみないで。
母親だからって、それほどまでに偉いのだろうか。
あんな、ヤツ。
来なければ、幸せなのに。
放っておいてくれさえすれば、立派な、ミナのおにいちゃんでいられるのに。
--ミナ、の……。
ぐしゃりと髪に手をつっこんで、掴める限りの毛を引っ張った。
抜けるなら、抜ければいい。
頭皮の痛みが、正気を保つ。
この痛みが、最低な自分を罰してくれる。
……ちょっとは、気持ちが、ラクになる。
「あぁ、もうっ!!」
遠く、湖面に当たり散らした。
ミナには……あんな姿、見せたくなかった。
最悪だ。
きっと怯えているだろう。
泣いているかもしれない。
クズみたいな自分のせいで。