ひねもす月
「……帰ろっか」
「んっ」
洗い流されたようだ。
あんなに荒れていた心が、目の前に広がる湖面のように、いつしか、静かに凪いでいた。
「気をつけて」
仲良く手をつないで立ち上がる時、ついでにカナタは小石を一つ拾うと、ポケットにコロリと入れた。
ミナを、離しはしない。
もう、傷つけも、騙しもしない。
前に進もう。
逃げちゃダメだ。
だって、ミナを失うことは、できないのだらか。
カナタは、カナタとして--。
傷付けたぶん、守ればいい。
カナタを信じてもらえるように、きちんと、見つめてもらえるように。
生まれたばかりの強い意志。
情けないカナタが、ミナの顔に見た答え。
「帰ったらアイスでも食べようか」
太陽はまだ傾き始めたばかりだ。
じりじりと照りつける暑さはまだまだ納まりそうにない。
じんわりと湧いてくる汗を感じながら、カナタは、ミナを、景色を、じっくりと見た。
向こうに帰っても、忘れないように、と。
どれだけ経とうが、この想いが褪せることはない。
だから。
今はただ、この場所がいつまでも変わらないことをのみ、切に、祈った。
「んっ」
洗い流されたようだ。
あんなに荒れていた心が、目の前に広がる湖面のように、いつしか、静かに凪いでいた。
「気をつけて」
仲良く手をつないで立ち上がる時、ついでにカナタは小石を一つ拾うと、ポケットにコロリと入れた。
ミナを、離しはしない。
もう、傷つけも、騙しもしない。
前に進もう。
逃げちゃダメだ。
だって、ミナを失うことは、できないのだらか。
カナタは、カナタとして--。
傷付けたぶん、守ればいい。
カナタを信じてもらえるように、きちんと、見つめてもらえるように。
生まれたばかりの強い意志。
情けないカナタが、ミナの顔に見た答え。
「帰ったらアイスでも食べようか」
太陽はまだ傾き始めたばかりだ。
じりじりと照りつける暑さはまだまだ納まりそうにない。
じんわりと湧いてくる汗を感じながら、カナタは、ミナを、景色を、じっくりと見た。
向こうに帰っても、忘れないように、と。
どれだけ経とうが、この想いが褪せることはない。
だから。
今はただ、この場所がいつまでも変わらないことをのみ、切に、祈った。