好きだなんて言えない。
さっきよりも近い距離で再び彼を見上げる。
すると目が合い一瀬君は不思議そうに微笑んだ。
「…!」
途端
ぼっと自分の頬が熱を持ったのが分かる。
そしてすぐに一瀬君から顔を背けた。
(うわぁうわぁ!私今すっごく不自然っ!平然としなくちゃ…!)
そう思い思いきって口を開く。
「…あ、あの!瑞樹のどこが好きなの!?」
そう言ったあと、すぐに気づいた。
………………失敗した…。
あぁあ!どーしよ
勢い余って変なこと聞いちゃった…!
今持ち出すような話じゃなかったよね…!?
しかも第三者の私なんかに話すことじゃ…!
自分の過ちに気づいて慌てて否定の言葉を発そうと彼を見ると
一瀬君が口を開いた。
「…んー
好きなとこねぇ…」
彼は想像していた反応とは違い、平然と続ける。