好きだなんて言えない。
「しいて挙げるなら、
真っ直ぐなとこ、かな」
そう言われた瞬間
頭が真っ白になった。
そう言った一瀬君の表情は、
愛おしそうでどこか暖かい
今まで見たことのない笑顔だったから―。
(…聞くんじゃ…なかったな…。)
彼は
彼女のことをそんな顔で考えるんだ…。
そんな聞いたこともない優しい声で
彼女のことを―…。
顔を俯けたはずなのに
目線は地面なのに
頭に
瞳に
彼の笑顔が張り付いて取れない。