好きだなんて言えない。


「好きな人の…話だよね」

「え?あぁ、うん」

「いるよ。
……好きな人…。」



そう言った途端、私の目線は地面にあるから彼の表情は解らないけれど、一瀬君は驚いているみたいだと空気で分かった。


「…それは
俺の知ってるやつ?」

「……うん」

「そっかぁ…。
何か意外かもしんない。」

そう言って
彼はハハっと笑う。


「なんか協力出来ることあったら何でも言ってね」



見上げると


そこには、
いつも通りの私の大好きな彼の笑顔。



「……うん、ありがとう」



そう呟くように言って、
私はもう一度俯いた。
< 16 / 32 >

この作品をシェア

pagetop