好きだなんて言えない。
彼の友達。
―――
「あれ?
瑞樹勉強?」
ある日の教室、
ふと瑞樹を見ると参考書などを机に広げて、なにやら唸っていた。
「んーまぁねぇ…あぁ、これもわかんない…」
ブツブツ独り言を言いつつも
ペンを動かす瑞樹。
「へぇ…珍しいな
あの勉強嫌いな瑞樹が…」
私の隣から
円がひょこっと顔を出し、
瑞樹の手元のノートを見た。
「珍しいってなによ…。
しょうがないでしょもうすぐ期末テストなんだから」
「……期末テストって…。
瑞樹いつもしないよね?勉強」
「いい点取れたら湊にご褒美貰うの!」
あぁ…
なるほど…。
瞳をキラキラと輝かせて言う瑞樹を見て思う。
(ほんと、一瀬君のこととなると一生懸命だなぁ…)
「…そうなんだ、頑張ってね」
「うんっ!」
そう言って微笑んだ瑞樹は
“恋する女の子”そのもので、
とても可愛いと思った。