好きだなんて言えない。


日向は棚の前で何冊かの資料を手にしたままこちらを見ている。

「帰ろうとしたら押し付けられた。アンタも?」

「あ…、うん」


私はそう言って、
部屋の真ん中にあるどでかい机に資料の束を置いた。


「日向君も大変だね…」

「まぁね」


苦笑する私に
日向君はいつものポーカーフェースで棚に資料を並べながら返す。
それに私も棚に資料を並べ始める。



「………」

「………。」



(……沈黙が痛い。)



ちらっと日向君を見ると
彼は私に目もくれないで早々と資料を片付けていた。


(…日向君って不思議だな…。)


いつも無表情で
何を考えてるのか分からない感じ。

(いつも一緒にいても、あんまり話したことないし、正直苦手……)

と、そんなことを考えていると





「―――ねぇ、」



ずっと沈黙だったため、
静まりきっていた部屋に彼の声が綺麗に通る。


「……ぅえっ?」


それにびっくりして途端に間抜けな声が出てしまう。


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