好きだなんて言えない。



「見込みないんだしやめたら?」
「え……。」


なんかその言い方…。


「私の好きな人、知ってるみたいに言うね……」

「知ってるよ」





…………はい?







「なにいって…」


何で……。



「言ったじゃん
好きなやつしか興味ないって。
そいつしか見てないよ、俺」

「え…?うん…」


理解不能。

日向君が何を言いたいのか全くもって解読不明……。



頭にクエッションマークを浮かべた私に、日向君は目線を移す。
そしてまた目を背けた。


「………橘陽菜16歳
誕生日3月5日、うお座のA型。」

…………はい?


え…
な……?


「好きなやつは…」
「え、ちょっと待って、日向く…」

一体なんなの…!?




その瞬間

まっすぐにこちらを見つめた彼と目が合う。







「一瀬湊」




そう言った彼の口角は、
少し上がっていた気がする。




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