好きだなんて言えない。
―――
「……なんでバレてんだろ…」
その日の夜。
ベッドに身を沈めて放課後のことを考える。
(…私言ってないよね…、日向君に…)
「…そう言えば…」
私の誕生日とかも知ってたよね…。
あれ、ところで何でこんな話になったんだっけ…?
確か、日向君が「好きなやつのことしか考えてない」って言ってそれで……。
…………ん?
好きなやつ?
“好きなやつしか興味ないって”
“橘陽菜16歳、誕生日3月5日―”
…………、
「………まさか、ね…」
そうポツリ呟いて枕に顔を埋める。
そしてそのまま眠りに堕ちた。