好きだなんて言えない。
次の日の朝。
「おはよ」
下駄箱に靴を入れていると
横から声が聞こえた。
「…あっ…一瀬君…おはよ…」
隣を見ると、一瀬君が私の斜め上にある自分の靴箱に靴を入れていた。
そしてふいに一瀬君がこちらを見た。
「…あ、寝癖」
そう言った一瀬君の手が私の前髪を撫でた。
「…っ!」
あ、
やばい
顔が一気に熱く…っ
「ぁ…朝、い、急いでて…っ」
何とか言葉を発するも
顔を上げられない。
そんな私の様子に気づいていないのか、一瀬君はクスクス笑いながら私の髪の毛を弄る。
(〜〜っっ!!)
と、その時
「みーなとっ!おっはよー!」
後ろから元気な声が聞こえてハッとして振り向く。
(…瑞樹………。)
「あ、陽菜もおはよっ…って…、あんたたちそんな仲よかったっけ?」
「瑞樹おはよ。
何が?」
一瀬君が手を私の頭に置いたまま言う。