好きだなんて言えない。


そして10月現在
今日も私達は昼食を食べようと屋上に向かっていると
グループの一人、藤原綾斗君が口を開いた。


「今からじゃんけん負けたやつ購買パシリなー!」


「えー」


そう言いながらも女子と男子に別れてじゃんけんをした結果


瑞樹と円がぐー、
わたしがちょき。

そして
見事に負けた。





「まーけーたーっ!」

「やりぃっ!あたしいちごオレにチョココロネっ」
「じゃあ私コーヒーにクリームパン」




「女子の方誰なったー?」

男子のじゃんけんも終えて藤原君が言った。
それに瑞樹が返事をする。

「陽菜だよーっ!」

「こっち湊」





――え――


やだ

やだやだ

だってそんなの……。




その場で硬直する私に一瀬君は言った。

「めんどくさ…
陽菜ちゃん、行こ」


「…え…っ、ぁ…うん…」


藤原君達からお金を受け取ってスタスタと屋上の階段を降りていく一瀬君に重い足を向ける。

振り返り瑞樹を見ると
後の三人と楽しそうに喋っていた。



安心しきってるな……。


そりゃそっか

一瀬君は瑞樹と付き合ってるんだし
心配する必要ないもんね……。


それに

相手がわたしだし。



そんなことを考えながらも
屋上を出て一瀬君の後を追った。









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