新世界創造記 ~勇敢なる姫の使命
「レリン~またお城を抜け出して来たの?陛下に怒られるわよ!!」
元気で明るい声にレリンは笑顔で振り向いた。そこにはおもしろそうに笑う、金髪に碧眼の美しい少女がいた。
「クリス~なんか最近お母さんみたいになってきたよ!!それにお父様はあまり怒らなくなったし……なにより城を抜け出す時のそのスリルがたまんないんじゃない~」
金髪碧眼の少女ークリスにレリンはいたずらっぽく笑ってみせた。
クリスも笑う。
でもただ1人、笑わなかった者がいた…
ー後ろから、わざとらしくため息が聞こえた。
レリンがため息をついた主に1つ蹴りをお見舞いしてやろうと振り向いた…よりはやく、クリスが声をかけた。
「こんにちは♪ディースさんもこんなお転婆姫様の護衛なんて大変ですね~。」
クリスがにこやかに、かなりひどい事を言う。
「いや~ホントに大変だよ。この姫様の面倒は…でももうさすがに慣れたよ。」
こちらもにこやかに笑いながらさらりと人の傷つく事を言う。淡い青色の髪に黄色の瞳、太陽に反射して、髪も瞳も煌びやかに輝く…整った顔立ちは周りの女性を騒がせる、かなりの美少年だ…
「こら~!!2人とも何を言う!仮にも私はこの国の姫だぞ!!」
レリンは口を尖らせてみる。
とうの2人はレリンの反応に大笑いしていた。
レリンの不機嫌度はMAXに……
「もう怒った!!2人とも、次は法廷でお会いしましょう!!王家への侮辱罪として訴えさせてもらいます!!」
この言葉に今まで笑っていたクリスは慌てる。
「レリン、こんなのただの冗談よ~そんなに怒らないでーー!!」
クリスの必死な言葉にもレリンは耳を貸さない…
全くのシカト状態である。
ディースは不機嫌な姫と慌てて謝るクリスを交互に見ながら笑っている。
「レリン~ごめんってばぁ~!このとーり!!てかディースさんも黙って笑ってないで、レリンに謝って下さい~」
「…俺は騙されませんよ?」
ディースは静かに笑いながら諭すように言う。
ディースの意外な言葉にクリスは首を傾げる。
彼の言葉が合図だったように、レリンが小さく笑い出す。