お兄ちゃんが、見てる。[短51P]
『トゥルル』


 また、タケシくんの携帯が鳴った。


「亜季、帰って? お兄ちゃんの相手でもしてあげたら?」


 早く出て行けという空気を醸し(かもし)出しながら、タケシくんは携帯を気にしてソワソワしている。



 外にはお兄ちゃんがいるのに、追い出されそうなあたし。


 あたし、どうしたらいいの?



 頭が痛くなってきて、あたしはフラフラとしゃがみ込んだ――。


 あぁ、気を失いそう……。


「おい、何やってんだよ……」


 タケシくんの迷惑そうな声を聞きながら……夢を見た。

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