お兄ちゃんが、見てる。[短51P]
「ただいま」
お兄ちゃんが帰ってきた。
あたしはお兄ちゃんの部屋へ乗り込む。
「亜季、どうしたの?」
少し驚いた顔をした後、すぐにいつもの優しい微笑を向けてくるお兄ちゃん。
「トオルくんに、何かしたの……?」
トオルくんの名前を出すと、お兄ちゃんの眉が一瞬ピクリと動いた。
「あいつに会ったの? どこで?」
「そんなこと関係ないでしょ!?」
「亜季、言いなさい!」
ピシャリ、と言われ、あたしは渋々今日のことを話す。