お兄ちゃんが、見てる。[短51P]
タカユキくんの…
それからしばらくして――。
タカユキくんの遺体が、林から見つかった。
一緒にニュースを見ていたお兄ちゃんは、とてもとても冷めた目をしていた。
「タカユキくんっ!?」
あたしが泣きながらテレビに縋ろう(すがろう)とすると、お兄ちゃんはパチンと電源を切ってしまう。
「亜季、こんなやつ、もう好きじゃないだろう?」
――お兄ちゃん、どうして、笑顔なの……?
どうして、少しも驚いてないの……?