お兄ちゃんが、見てる。[短51P]
『お前、今日、兄貴は……?』
トオルくんは、お兄ちゃんに怯えていたんじゃない。
トオルくんは……お兄ちゃんが"居ない"ことに、怯えていたの?
お兄ちゃんはあたしから彼氏を遠ざけようとしてた……?
タカユキくんのようになる前に……?
だから、いつもあたしを見張っていたの?
「ごめんね、お兄ちゃん……」
あたしの目からは、涙がポロポロと零れ落ちる。
「……亜季を守りたかったんだ」
お兄ちゃんが悲しそうに眉を下げる。