お兄ちゃんが、見てる。[短51P]
「どうしたんだよ?」
少し、うざったそうな声。
「お兄ちゃんが……下に……」
あたしは部屋に上がることも、出ることもできずに玄関に立ち尽くす。
「何?」
イライラした調子で、タケシくんは玄関を開けて廊下から下を覗くと、すぐに戻ってきた。
「あれが亜季の兄貴? 何でいんの?」
「あたしのこと、見張ってるみたい……」
「なに? 兄貴が? ストーカーみてぇに?」
「……」