Paradise Jack
prologue






『Hey!レイジ』


休憩中、そう声を掛けてきたのは、現在ここハリウッドで撮影されている映画で、共演することになったラリーだった。

まだたった二度目の撮影で、彼とはほぼ初対面だというのに、俺の肩に手を回したりとずいぶん馴れ馴れしい。人生の半分近くをこの異国で過ごしているくせに、こういう文化にいまだ馴染めずにいる。


『調子はどうだ。あっちこっち引っ張りダコで、少し痩せたんじゃないか?』


ラリーは、俺の肩をしっかりと組んだまま、大声で喋る。特注しているというキツイ香水に思わず顔を顰めた。


『こないだの、"日曜日のレモンライム"だっけ?端役のくせに、お前ばっかり注目浴びていたよな』

『あれは、端とはいえ、役がよかったんだよ』

『はは、よく言う!』

< 1 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop