Paradise Jack

「シュウ、」


わたしの言葉なんて無視して、ナナはもう一度わたしの名前を呼んだ。

どこか、切羽詰った固さをそれに感じたけれど、すぐにそれも熱を帯び、誤魔化されてしまう。

のしかかりながら、自然な動作でわたしの衣服の隙間から侵入し、下着を剥ぎ取る。優しく身体を愛撫され、自然と吐息が口から漏れた。


「ナナ、駄目…、…原稿が」


ナナが口から出る言葉を塞ぐようにキスをして、化粧っ気のないわたしの顔をゆっくりと舌がはう。


「…シュウは、作家になるの」

「え、」


その瞬間、びりびりとしたものが身体を貫き、目の前にちかちかと星が無数に散った。

ナナはわたしのことを何も知らないけど、誰よりわたしのことを理解している。怖いぐらいの波が押し寄せ、見開かれた目尻にじわりと涙が浮かぶ。
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