Paradise Jack
「痛っ」
驚いて足元を見れば、ナナがわたしの太股に噛み付いて、そこには赤く痕がついていた。こら、と叱れば、ナナは「ごめんなさい」と微笑む。
何度同じやり取りを繰り返しただろう。
「シュウの肌は、雪みたいに真っ白いから、赤い痕をつけたら美しいかと思ったんだ」
「…美しいわけないでしょ。馬鹿みたい。おふざけは終わりだよ」
「ちぇ」
またナナに流されてしまった。
わたしはナナに背を向けて、どくどくと激しい鼓動を打つ心臓をぎゅっと押さえた。ゆっくりと息をする。
「"夜明けの銀"」
背後で、ナナの声が静かに落ちた。