Paradise Jack

本と資料に埋もれるようにして、ソファで居眠りをしている"彼女"を発見した。

―またテレビつけっぱなしで寝て…。


ぶつりと、電源を切って、彼女の身体を揺らす。

個性のないシャツにダメージジーンズ、伸ばしっぱなしの栗毛、そして黒縁のメガネが鼻からずり落ちている。

おしゃれの欠片も見られない。


「シュウ、起きて。また窓開けたまま寝て!風邪を引いても知らないですよ」


むう、と小さく唸り声を上げてまた寝に入ろうとするので、彼女が抱き込むタオルケットを剥ぎ取る。

芋虫のように身体を丸める姿に、溜息をついた。

< 12 / 193 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop